今回の独演会の前席で申し上げる「徳川天一坊(十九)龍の夢」を、わたしは今まで単なるダレ場だと思っておりました。
このダレ場と申しますのは『面白くはないが物語の構成上欠かすことのできない地味な件(くだり)』のことで、ダレ場をこなせれば真打の技量といわれておりますが、今回改めて「龍の夢」に取り組み、その面白さに驚きました。
前回この件を演じたのはいつであったか、まるで覚えてはおりませんが(つまりそれくらい前ということになりますが)とにかくこの間でわたしの講談を捉える視点が変わってきたものと思われます。
ダレ場には隠し味の面白さがあります。どうかご堪能ください。
また後席では「(講談私小説)真剣師」を聴いていただくことにいたします。
これは酒に溺れる講釈師品川陽吉と賭け将棋で生計を立てる真剣師島田の交流を描いた読み物で、わたしの一連の講談私小説の処女作となったもの。
いつまで経っても処女作には愛着がありますし、とくに昨今の将棋界はプロ棋士が人工知能にかなわないことが明らかになったどころか、トップ棋士が対局中にスマホを操作して人工知能に頼ったのではないかというカンニング疑惑が生じたりして、大いに揺れ動いておりますので、あえてアウトサイダーをテーマにした「真剣師」を後席に選んだ次第です。
ご来場のほど伏してお願い申し上げます。
『神田愛山独演会』
11/25(金)19:30
らくごカフェ(神保町駅A6・神保町交差点古書センタービル5F…ビル裏口エレベーターより・降りて左・千代田区神田神保町2ー3)
2000円(ブログプリント持参割引有り)
愛山演題「徳川天一坊(十九)龍の夢」「(講談私小説)真剣師」