花紀京先生が亡くなられました。わたしは中学の頃から、この先生と岡八朗先生の大ファンでした。
そして平参平、原哲男、船場太郎といった方々……。
わたしはこうした関西喜劇人のイメージがあまりにも強いものですから、今の吉本新喜劇は敬して遠ざけてきました。
往年の吉本新喜劇の面白さにかなうわけがないと思っていたからです。
ですから吉本新喜劇がテレビで見られる環境にありながら、今まで避けてきたのです。
しかし今年の正月があまりにも暇でありましたがために、思いきって(敬して遠ざけてはきたけれど気になって仕方がなかった)吉本新喜劇にチャンネルを合わせてみて驚きました。
いやその面白いの何の!
わたしはたちまちのうちに病みつきとなり、それからというものは録画して何度も見るようになってしまったのです。
とくにわたしは清水けんじさんが贔屓で、あの個性豊かな座員たちを舞台で仕切る腕前は、間といい、テンポといい、お見事の一語に尽き、まさに玄人好みの存在といえましょう。
……芝居の筋の流れからいって、その場を立ち去らなければならない中川貴志さんがつまらない理由ですぐに戻ってきて、清水さんが早く行けといっても、中川さんがまたすぐに戻ってきてしまうという、ただこの繰り返しだけで爆笑をとる……。
このネタで見せるご両人の絶妙の呼吸は天下一品です。
講談と喜劇、個人芸と集団芸という違いはあるものの、プロが唸る芸を見せるのが真のプロと定義するならば、わたしはプロ中のプロとは「吉本新喜劇」のことだと思っています。
座員のどなたかとお会いしたい。
本当にお会いしたい……。
神田愛山『ベラ 私小説掌編集』
B6版76頁・1000円(税別)
「ダンボールの位牌」「出身地」「ベラ」収載。
書店には並びません。愛山主催会か、らくごカフェ(東京都千代田区神田神保町2ー3古書センタービル5F)にて発売。出版社に注文も承ります(地方在住の方は、ぜひ電話をかけてください)。
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