アルコール依存症の患者がこの十年で激増したらしく、先日もテレビのニュースと社会番組の中で報じておりましたが、専門病院と相談窓口のネットワークの紹介が中心で隔靴掻痒、アルコール依存症の本質にふれるものではありませんでした。
とくにコメンテーターの医師が「アルコール依存症は治る」と発言したのには驚きました。
まことに残念なことにはアルコール依存症は治りません。
……その治らないという意味は『アルコール依存症の烙印を押された者は二度と正常飲酒できない』という意味で治らないのであって、もちろん断酒を続けていけば社会生活はおくれます。
そのよい例がこのわたしで、アルコール依存症に冒され、病院と患者たちの自助組織断酒会を経験。断酒して30年の歳月が流れております。
(この体験は本に書き、講演で語り、新作講談にもまとめております)
その医師は断酒を続けていけば社会生活をおくれるという状態を「アルコール依存症は治る」と表現したのかもしれませんが、この発言は大いに誤解を招きます。
たとえばこのテレビを見た酒に問題を抱える人たちが、
「アルコール依存症は治ると医者もいっていた。それならばたとえ今のオレの酒は悪くても、そのうちに自然治癒するだろう。すこし間をおいて飲めば大丈夫なんだ」
と断酒のきっかけを失い、さらに酒を飲み続けてしまう可能性も充分に考えられるからです。
何にせよ専門家らしからぬ発言でした。