「清水次郎長伝(十五)荒神山の間違い」
たとえば天保水滸伝笹川の花会を「硬」とすれば、この荒神山の間違いは「軟」です。 吉良の仁吉が亡くなるという愁嘆場でありながら、軽くて、面白くて、威勢がよくて、まさに侠客伝の醍醐味と申せましょう。
お楽しみください。
荒井到作「田中正造伝」
社会保険庁から日本年金機構と組織は変わっても、その不祥事が続く共同体の体質は、まるで変わってはいないようです。
わたしが権力に対して強い反発を抱くようになったきっかけは、実にこの国民年金問題からなのです。
ですから固定資産税滞納のために預金を差し押さへられ、督促状まで送りつけられてしまった男が、市役所市税収納課に火炎瓶を投げつけて逮捕されましたが、わたしはこの男に大いに同情を寄せるものなのです(もちろん心情的にですよ。一般市民を巻き添えにした放火が許されるわけはありません)。
ただでさえ仕事がうまくいかないところにもってきて預金を差し押さえられてしまったわけですから、「人生をメチャクチャにされた」と市役所に喧嘩をふっかけたくなるのは無理からぬことだと思います。
ことほどさように役所というところは、権力の代行機関として怨みを買われるところなのです。
日本年金機構も充分に気をつけるべきです。
けっして対岸の火事ではないはずです。
……明治時代足尾銅山鉱毒事件で政府を批判、抗議行動を展開していった人物が田中正造です。
この講談を演じながら、正造翁が立ち向かっていった身勝手きわまりない権力に対する激しい怒りに、わたしは時として身が震えます。
この読み物は五月にネタ下ろしして以来、おかげさまで客席の評判もよく、新作人物伝の王道に仕上がったと思っています。
天災に人災が重なり、とてつもない被害となってしまう今、この時代だからこそ、田中正造なのです。
ご来場を、ぜひ、ぜひ、ぜひ。
「神田愛山独演会」7/26(金)19:30
らくごカフェ(神保町駅A6・神保町交差点岩波ブックセンター隣古書センタービル5F…ビル裏口エレベーターより・降りて左・千代田区神田神保町2ー3)
2000円(ブログプリント持参割引有り)
愛山演題「清水次郎長伝(十五)荒神山の間違い」荒井到作「田中正造伝」
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