以前、わたしが主催する会に対して、ある老人会の幹事さんから問い合わせの電話がありました。「料金を割引きしてほしい」というのです。
幹事さんは、その会の開催を情報誌で知ったといいますから、「その雑誌を持参していただければ一割引きにいたしますよ。そういうふうに記載されているはずです」と応えると、「もっと割引きしてほしい。せめて半額にしてほしい」といいます。
まるで駄々をこねている子供と同じです。
さすがに「それはできません」とお断りいたしますと、「老人会といえば、どこでも特別扱いしてくれるのに!」と悪態をつけられたあげく、一方的に電話を切られてしまいました。
どうやらこの老人会には「安いものがよいもの」という統一見解があるようで、いろいろなところにごり押しをして値切っている感じが、電話の向こうから伝わってきましたが、すくなくとも芸を鑑賞する姿勢ではありません。
こういう組織は寄席に出かけるよりも「安売り買い物ツアー」を企画すべきです。
わたしは客入りの悪さを危惧するあまり、いわれるがままに老人会特別割引きをしてまでも、こんな人たちに客席に座っていてほしいとは思いません。
それではあまりにもみじめになってしまいます。
わたしは客席の中に演芸ファンであった頃のわたしがいると仮定して、そのもう一人のわたしに恥ずかしくないような高座を、いつも心がけています。
芸人は客を選べないといわれますが、わたしの心の中では選んでいます。
……なお今回の次郎長伝は十一席目ではありますが、いわゆる次郎長外伝「荒神山の間違い」(全六席)の一席目にもあたります。
この「荒神山の間違い」は娯楽侠客伝の花形といってよく、往年の東映時代劇を意識して読み続けるつもりです。
また開演時間を従来の19:00から19:30と遅くいたしました。
お仕事帰りにぜひ、ぜひ、ぜひ。
「神田愛山独演会」11/30(金)19:30
・らくごカフェ(神保町駅A6・神保町交差点岩波ブックセンター隣古書センタービル5F…ビル裏口エレベーターよりお乗りください 5F降りて左・千代田区神田神保町2ー3)
・2000円(ブログプリント持参割引あり)
愛山演題「清水次郎長伝(十一)蛤茶屋の間違い」他新作一席・自主制作CD販売