《同じ靴》
散歩の途中で駅前のベンチに座っておりましたところ、歩行補助車を押してきた老人が、わたしの隣に座りました。
老人は見事な銀髪で品がよく、自分の老いを渋々ながらも認めているという印象を受けました。
……と、その老人の靴と、わたしの靴はまったく同じリハビリシューズであったのです。
それは駅近くの店で販売している物で、軽いだけが取り柄の四桁の手前の値段で買えます。
しかしわたしは相変わらずの一人暮らしですが、この老人にはセーターを着せてくれる付き添いの娘さんがおります。
同じ靴を履いてはいても、この老人とわたしが歩んできた道は、天地の違いがあるようです。
《ブルーテント》
わたしは多摩川まで歩いて五分というところに二十年以上住んでいますが、この間初めて土手を散歩してみました。
すると今までは街中の道を行くと、ばかに遠いところだと思っていたある場所が、土手の一本道を行けば、かなり近道になるということを発見しましたし、釣り人と顔なじみになり、可愛がられている野良の黒猫が、なんとも微笑ましく、わたしの目に映りました。
が、その先にはホームレスが寝起きをしているものか、ブルーテントが息を詰めたように張られてありました……。
《友人》
高校時代からの二人の友人の不運、不幸な話を立て続けに知らされました。
しかし彼らは今現実を直視して必死に堪えています。
わたしも彼らの真似をします。
友人たちとの物理的距離は離れていますが、心理的距離はまったく離れてはいないと、今さらのように痛感しました。
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