数年前のある会の受付で、次回からのご案内をお送りするために、お客さんへ住所氏名の記帳をお願いしたところ、達筆でもなければ崩したわけでもなく、まったくのオリジナルデザインとしか思えない字を書く人があって、判読に困りましたが、こういう人が仮に講談を演じたといたしますと、おそらくはお客さんに理解してもらえないひとりよがりの美意識だけの芸で終わってしまうことでしょう。
わたしは今度の「神田愛山・宝井琴調~夏の会」で、江戸時代の作家上田秋成の「吉備津の釜」のネタ下ろしをいたしますが、ひとりよがりの美意識だけにはおちいらないように気をつけます。
琴調さんの「鋳掛け松」も、まことに結構な一席で、伝統芸である講釈場の匂いに満たされるこの二人会は、本当の講談ファンならば堪えられない企画であるはずです。
それにしてもオリジナルデザイン氏は、公式書類の記入も「判読無用」とばかりに、未だに我が道をいく字を書いておられるのでしょうか!?
もしそうだとすれば、それはそれで立派だとは思うのですが……。
「神田愛山・宝井琴調~夏の会」8/3(金)19:00
・らくごカフェ(地下鉄神保町駅A6出口・神保町交差点岩波ブックセンター隣古書センタービル5F…ビル裏口エレベーターよりお乗りください 5F降りて左・千代田区神田神保町2ー3)
・2000円(ブログプリント持参割引有り)
「(寛永三馬術)度度平住み込み」琴調・「(上田秋成原作)怪談吉備津の釜」愛山(仲入り)
「(幕末、時代の波に翻弄された男)青龍刀権次」愛山・「(文化白浪)鋳掛け松」琴調