その日昼席の高座に上がって数分後(楽屋で飲んだ熱いお茶のせいとしか考えられませんが)口の中の上の皮がはがれかかり(わたしは皮膚が弱いので、こうした症状は珍しくないのですが、高座中は初めての経験でした)「シ」の音が出せなくなってしまいました。
「シ」の音を出すときに息があたるところの皮がはがれかかっていますから、そこに息があたって唾を押し出す感じになり、わたしが出そうとしている「シ」の音と混じってベチャッとした奇妙な合成音になってしまうのです。
一席の途中ですが、お客さんに事情を説明して楽屋に戻ってお湯を飲んでも、口に指を突っ込んでも皮ははがれず、仕方がないのであきらめて、また高座に戻って最後までやりましたが、いやはや散々な出来でありました。
こんな肉体的アクシデントを含めて、まさに高座は魔物。何がおこるかわかりません。
薄皮は帰りの電車の中でようやくはがれましたが、時すでに遅く、これがトラウマとなり、落語の「まんじゅうこわい」ではありませんが、これからは熱いお茶が怖くなりそうです(笑)。
……お待たせいたしました。柳家喬太郎さんとの二人会です。
わたしと喬太郎さんとの組み合わせなど、誰も考えてくれないでしょうから、わたしが自分で考えました(笑)。
わたしから喬太郎さんにお願いして年に二回ほどのペースで続けています。
最初の頃の記録を紛失してしまい、よくわからないのですが、そろそろ十年になろうかと思います。
今回のわたしの読み物は「忠治の娘」と「(若手講釈師銘々伝)ヨージ君」の二席。
前席はダンディズムあふれる侠客伝で、後席は某講釈師の貧乏人生をもとにしたセミドキュメント作品。ネタ下ろし以来一部マニアの熱狂的支持を受けております(笑)。
17:30開場、18:00開演ですが、前座さんと二つ目さんに時間をつないでもらって、18:30に、まず喬太郎さんが高座に上がります。これからが二人会の始まりです。
この会は前売り予約等一切ありません。とにかく皆様方にお江戸両国亭まで足を運んでいただきます。演芸ファンであることを誇りに思っていただきます。
ご贔屓のほどよろしくお願い申し上げます。
「神田愛山・柳家喬太郎二人会」6/21(木)18:00
・お江戸両国亭(JR両国駅東口歩8分・大江戸線両国駅A5出口歩6分・本所警察署隣・墨田区両国4ー30ー4)
・2000円(全当日自由席・予約前売りブログプリント持参割引なし)
好吉・神田春陽・「短命」柳家喬太郎・「忠治の娘」神田愛山(仲入り)
「(若手講釈師銘々伝)ヨージ君」神田愛山・「おたのしみ」柳家喬太郎