人事の季節が近づくと鬱になるといった建設会社の社員がおりましたが、最近こんな話を耳にしました。
……六月の中旬、四十代半ばで小学校低学年の二人の子供をもつサラリーマンに「月末までに東京本社から関西支社へ着任せよ」との辞令がおりました。
転勤までの準備期間は、わずか二週間しかありません。
首都直下型大地震が懸念される昨今、東京を脱出して西日本へ避難する絶好のチャンスなのかもしれませんが、奥さんのほうは子供の転校と転居を固く拒否していますので、彼は単身赴任か、それとも転職かの決断を迫られることになりました。
が、これは一種のリストラか、あるいは人事の名をかりたイジメなのかもしれません。あまりにもシビアな話です。
わたしは以前『人間は生涯に三度は神経がすりきれるような決断を迫られるときがあり、またその三度が人間の神経の限界だ』という一文を読んだことがあります。
その伝でいえばわたしの場合は「講釈師という職業の選択」「断酒」という二つの決断を経験してきておりますが、まだ一つ残されているということになります(あるいは無意識のうちに、すでに決断してしまっているのかもしれませんが)。
わたしはその最後の決断を「パソコンとの決別」に使いたいのです。
パソコンがなければ今の世の中は渡っていかれませんから、そのくらいのことはわかりますから、なまじのメカのプロよりも信頼がおける神田○司(あえて名を伏す。坂本龍馬の講談を得意とする講釈師)に操作方法を教わり、トラブルにも対処してもらいながら、何とか続けていますが、まさに四苦八苦。
パソコンはたしかに便利な物ではありますが、こうして自分一人では扱えずに、おまけにコンピューターウィルスに代表されるハイリスクなパソコンを、どうしてもやめられない意志の弱さが、わたしの鬱の元なのです。
パソコンをやめたら台本は手書きにすればよいのです。昔の生活に戻るだけのことなのです。
でも、まだ、やめる決断がつかないのであります(涙)。
《自宅講談会六畳庵ご案内》
7/3(日)16(土)17(日)18(月祝)30(土)31(日)14時(注3(日)は15:30)2000円
・愛山二席。終演後は茶話会です。よろしければ、ぜひ。(問)03ー3430ー6615愛山工房