「夏になると無性に遊びたくなります」と、作家の結城昌治先生に暑中見舞状をお出ししたところ、「それはあなたが若いからです」という旨のご返事をいただいたのは、もう二十年ほど前のことになります。
ところがこの数年は遊びたくなるどころか、猛暑にウンザリ。
ただただ秋の訪れを楽しみに、半死半生の夏をすごしておりました。
しかし、そんなわたしが、「今年の夏は市民プールで泳ごう」と思い、実際プール開きの今日、十五年ぶりに泳いできたというのは、一体どうしてしまったというのでしょうか。
わたしはここのところ心身共に免疫力が衰えてしまい、肉体は疲れやすく、精神はいつも緊張しています。一種のパニック症であります。
そこで夏が楽しく思われたあの頃にもどり、免疫力をアップさせようとしているのかもしれません。
つまりわたしは元気になりたいのです。
まだ人生を捨てたくはないのです。
この悲観的な男が、珍しく積極的な姿勢を示しているのです。
市民プール行きは、きっとそういう理由からでしょう。
……で、今日泳いだ距離は、30メートル×5本、17メートル×5本。あとはずっと水中歩行をしておりました。
今年の夏は泳ぎますよ。遊びますよ。 みなさんも遊びにきてください。
そしてみなさんの遊びに、わたしを誘ってください。