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情報通による神田愛山取扱上の注意(1)
取扱を誤ると差し迫った危険が生じます。本取扱説明書を熟読の上、正しい取扱をおすすめします。

『食事で同席した場合の注意』
うつ向きがちで、美味しいのか美味しくないのかまるでわからない表情であっても決して気になさらないで下さい。人と一緒にいればいるほど、自分の世界に入るという、自他ともに認める厄介な性癖があるため、同席者はマイペースを死守してください。それが平和な食事につながります。

『水周りに支障が生じた時にたまたま居合わせた場合の注意』
甚だしいパニックに陥っている本人を見て、同席者もどう扱っていいかわからず危うくパニックに陥りそうになりますが、とりあえず無視して下さい。「どうすればいいの!!」と聞いてくるのを待ち、「大丈夫だからね」と言います。「慰めで言ってるんじゃないよね!!」と念押しされた場合には、驚いたりせずに「慰めで言ってるんじゃないから」と諭します。ただし、この念押しは10回は続きますので覚悟が必要です。

『電車に乗る場合の注意』
目的駅の階段付近で降りたいという欲求が不当に強いため、同乗者は戸惑いますが、毎日一緒に電車に乗るわけではないので寛大な心で許して下さい。そして、この、寛大な心が取扱の基本を成すことをナニしていただければと思っております。

『遠出の際の駅での待ち合わせの注意』
本人は発車時刻の1時間前に駅に着いて待っておりますから、ゆめゆめ5分前に到着することなどないようにして下さい。本人は早く到着して「間に合った」という安心感に浸っているにもかかわらず、相手が不当に遅くなってしまうと(たとえ時間に間に合っても)、逆に不安感が募り、旅の最初がぎこちなくなってしまいますので、発車30分前に駅に行き、二人で安心を分かち合って下さい。それが平和な旅につながります。

『しつこい確認に対する注意』
気になることがあると、何回も確認してきますが、上の空で聞くようにして下さい。ただし返事は忘れないようにして、3回に1回は「慰めで言ってるんじゃないからね」と付け加えて下さい。しかし、さらにしつこく確認してきた場合には、恫喝するか、逃げることをおすすめしております。36回以上確認逃げるに如かず、逃げれば大丈夫です。逃げても大丈夫です。慰めで言ってるんじゃないです。

『塞ぎ込んでいるようにみえる場合の注意』
大体が塞ぎ込んでいるように見えることが多いですが、本格的な塞ぎ込みと認識した場合はカラオケに連れて行き、舟木一夫、三橋美智也、石原裕次郎などを好きなだけ歌わせ、春日八郎で締め括ります。本人の頭からドーパミンが大量発生して、見事に蘇生します。
カラオケは治療にお使い下さい。定期通院をおすすめしております。

『同席しながら話題に事欠き気まずい沈黙が訪れた場合』
結城昌治の小説に話題をシフトして、語らせて下さい。蘇生します。普段から結城作品に触れるように心掛けて下さい。それが平和なお付きあいにつながります。

『不安を先取りしていると感じた場合』
極度の心配性であるため、何もしないうちから様々な妄想に溺れてしまいます。溺死寸前になりながら助けを求めていると感じた場合は、竿を差し出します。「これにおつかまりあれ」……つまり、あらゆる不安材料を吐き出させてしまうのです。「そんなに強くすがると竿が折れてしまいます」…時に恫喝したり、大きな声を出したりして、突き放す態度をちらつかせます。後は時の流れに身を任せます。案外、その場になるとケロッとして拍子抜けすることもあります。


……この取扱説明書はお断りなく、変更、追加、削除させていただくことがありますのでご了承願います。本取扱説明書を有効にご活用いただき平和な毎日をおすごし下さい。不具合が生じた場合は速やかにご連絡願います。誠心誠意対処させていただきます。
by aizan49222 | 2010-04-16 17:41 | 愛山取扱説明書(情報通)


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