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清水の頃・小学時代(四)


  火傷負ひ学童のまゝに逝きし友昨日の如き歳月流る


 清水の小学校に転校してから、すぐに親しくなったのがH君でした。彼はとても明るいヤンチャな子供で、わたしとはまるで性格が違います。親しくなったきっかけは覚えていませんが、おそらくは人見知りをしないH君のほうから、わたしに接近してきてくれたのでしょう。家が近かったということもあるのかもしれません。粘土山と呼ばれた小高い山で一緒に遊んだ記憶があります。

 ……そしてその日、授業が終わって、掃除の時間となり、わたしはH君と並んで雑巾がけをしておりましたが、彼がいつもと変わらぬふざけた口調で「もう拭いてもいいかちら」といったのが、H君と会話をかわした最後となりました。

 H君はその晩、家のお風呂の縁に乗って(いかにもヤンチャだった彼らしいエピソードです)湯加減をみていましたが、誤って落下。全身火傷で亡くなりました。
 担任の男の先生が事故の模様や、入院治療の様子を、そのつど克明に知らせてくれましたが、H君はそのまま帰らぬ人となってしまいました。
 いかにも辛そうに「やはりH君は亡くなってしまったよ」と報告してくれた先生の顔を、わたしは今でもはっきりと思い浮かべることができます。

 クラスメートが揃って、H君のお通夜に出かけました。薄ら寒い一日でした(季節を覚えておりませんので、あるいはわたしの心がそう感じてしまったのかもしれません)。
 H君の菩提寺は、子供たちの遊び場でもありましたから、わたしは彼が眠るお墓を承知しています。
 しかしわたしはその後一度も、その前にたたずんだことはありません。素通りするだけで、目も向けません。
 H君の無念さを思うと、彼が大火傷を負った当日に話をした自分だけが生きていることに対して申し訳なさを感じてしまうからです。

 そしてその気持ちは今でも変わっていません……。
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by aizan49222 | 2010-05-26 23:54 | 愛山自伝・俳句と短歌
新発売!神田愛山自選講談集情報

神田愛山自選講談集(7)  三家三勇士「三十三間堂通し矢」講談私小説「強制送還」

神田愛山自選講談集別巻(3)  天保水滸伝(五)「潮来の遊び」天保水滸伝(六)「平手造酒の最期」



バックナンバー情報


「神田愛山自選講談集」

(自主製作CD・自宅収録・各2千円・パソコンで記録したディスクのためプレイヤーの仕様によっては再生できない場合がございます)通販はいたしません。

・愛山主催会のみにて発売

(1)「(寛政力士伝)谷風の情相撲」「(講談私小説)酒の染み」

(2)「蜀山人」「気になる男」

(3)「(難波戦記)真田の入城」「あの時の男」

(4)「(赤穂義士銘々伝)大高源吾」「(講談私小説)真剣師」

(5)「(赤穂義士銘々伝)二度目の清書」「(露地野裏人作)温かい年賀状」

(6)「般若のお作」「(露地野ぼん子作)修学旅行」


(別巻1)「天保水滸伝(一)繁蔵相撲の啖呵」「天保水滸伝(二)鹿島の棒祭り」

(別巻2)「天保水滸伝(三)ボロ忠売り出し」「(四)笹川の花会」
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by aizan49222 | 2010-05-24 23:04 | 愛山自主制作CD情報
出世
 「講談次郎長ツアー」へ行ってまいりました。
 昔の東海道本線の普通電車は東京から静岡まで運行していたものですが、今は熱海で乗り換えなければ静岡まではいけません。
ずいぶん不便になったものです。
 おまけにボックスシートではなく、横座りの席でしたから、都心の電車に乗って移動しているも同じことで、
お弁当を食べるのも気恥ずかしくなります(でも食べましたけどネ。とてもおいしかったです)。

 ツアー参加者はわたしとお客さん4人の計5名。
 3時に(静岡県)清水駅に到着して、そのまま高校時代の下級生(女性)が経営するホテルへチェックイン。
 すぐに和室で講談会。
 わたしが「清水次郎長伝心中奈良屋」とオリジナルの新作「あの人の足音」の二席。
 そしてこのツアーの売り物であるアマチュア講釈師への公開稽古。お二人に稽古をつけました。
 夕食はこれまた高校時代の同級生夫婦がやっている鮨屋へ(まるで同窓会ツアーです)。

 部屋に戻って深夜までの演芸談義も、また楽しきもの。
 翌朝は次郎長関連史跡巡り。
 と、(次郎長の菩提寺)梅陰寺まで車で送ってくれた例のホテル経営の彼女が、わたしに向かって手をふりながら大きな声で別れの挨拶。
「センパーイ!今度は出世して戻ってきてねえ~!」
 ……この道三十六年の講釈師も、どうやらマスコミで売れない限り、出世したとは思ってもらえないようです。スーッ(深いタメ息)。


「神田愛山独演会」 5/28(金)19時
・らくごカフェ(神保町駅A6出口・神保町交差点岩波ブックセンター隣・古書センタービル5F・千代田区神田神保町2ー3)
・2千円(ブログプリント持参割引有り)
・愛山演題「天保水滸伝(七)三浦屋孫次郎の義侠」他新作一席
・(自主制作CD販売あり
~神田愛山自選講談集(7)三家三勇士「三十三間堂通し矢」講談私小説「強制送還」
 神田愛山自選講談集別巻(3)天保水滸伝(五)「潮来の遊び」天保水滸伝(六)」平手造酒の最期」)

「第11回コタン講談会」6/4(金)19:30
・ライブハウス四谷コタン(新宿区若葉1ー9金峰ビル101)
・2千円+ワンドリンクオーダー制(ブログプリント割引なし)
…四ッ谷駅(四ッ谷見附交差点側)を出て新宿通りを上智大学とは反対方向に直進5分ほど歩くと左側にジョナサンあり
 左折初角を右折 突き当たって左折 15mほど先左側ビル~
・「前講」神門久子・「(難波戦記)本多出雲守の討死」「(結城昌治原作)七人目」神田愛山
…ライブハウスでの講談会は一風変わった空間になります。ぜひこの雰囲気をお楽しみください。
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by aizan49222 | 2010-05-20 18:39 | 愛山メッセージ
モニター
 楽屋のモニターから、高座の某女流講釈師の笑い声が流れてきました。
しかし彼女が演者として読み物の中の登場人物に笑わせているわけではありません。
まだマクラの部分で、本人が地で笑っているのです(高座中に自分が笑うということは絶対にやってはいけないことなのですが)。
 が、なんとも下品な笑い方です。

下品な芸は本当にいやです。
劣悪な芸のほうが、まだ救いがあります。

 前座に「モニターを切れ!」と命じようとした瞬間、わたしは自分の生の高座をモニターで聴いてみたいという欲求にとらわれてしまいました。
わたしは、わたしの高座を、一体どう評するというのでしょうか……。
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by aizan49222 | 2010-05-14 10:17 | 愛山メッセージ
贅沢
週に二日は散歩の途中に立ち寄る洋服屋さんが「紳士物ジャケット・ジャンパー4割引きセール」をやっているというので、早速訪れてみました。
しかしその4割引きコーナーに、わたしの気に入った品はありませんでしたから、4割引きは諦めて、その隣のコーナーにあった夏向きジャンパーを定価で買おうとレジに持っていきましたら、なんとこの品も4割引き該当商品であったのです。
 わたしは狂喜乱舞!
あまりにも嬉しかったものですから、帰宅途中のスーパーで20円引きの一口ケーキを予定外に買ってしまいました。
そして「おれは今つくづく贅沢をしてるな」と思ったものです。


「神田愛山独演会」5/28(金)19時
・らくごカフェ(神保町駅A6出口・神保町交差点岩波ブックセンター隣・古書センタービル5F・千代田区神田神保町2ー3)
・2千円(ブログプリント持参割引有り)愛山演題「天保水滸伝(七)三浦屋孫次郎の義侠」他新作一席

天保水滸伝も今回が最終席。昨年の五月から隔月に演じ続けてきて「講談の魅力はダンディズム」を再確認した次第。とくにこの「三浦屋孫次郎の義侠」の一席は……。
ぜひ、ぜひ、ぜひ。
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by aizan49222 | 2010-05-07 17:49 | 愛山メッセージ
未知の人からの問い合わせ
中古屋で買ったパソコンはあります。しかしインターネットや、プリンターの接続設定は、すべて人任せ(神田○司・神田春○)で、とても自分ではできません。
 それにできるだけパソコンに触れたくありませんから、公私にわたるメールのやりとりは携帯電話に限定しています。

また固定電話の留守番機能を設定せずに、ファックスを自動受信から手動受信に切り替えてしまったのも、たとえば独演会を開いた場合などに、問い合わせ専用として番号を公開している固定電話に、未知の人から「連絡を待つ」という留守番メッセージを一方的に残されることがあります。
しかし折り返し電話をしてみても、携帯電話ならば、まず本人が出ますが、未知の人に固定電話の番号を残されても、話は厄介になるだけなのです。
 まずその電話番号が会社のものなのか、それとも自宅のものなのかがわかりませんし、しかも本人が電話に出る確率はきわめて低いのです。
ですからわたしは電話に出た相手に、わたしに問い合わせをしてきた本人への取り次ぎを頼むべく、まずわたしの氏素性を明かし、それから「わたしに問い合わせをしてきたお方を何卒電話口にお出しくださいませ」と腰を低くして懇願しなければならないのです。
しかし講釈師神田愛山と名乗りを上げても、不審人物と思われて、なかなか取り次いでもらえず、口論になったこともありました。

わたしはこうした未知の人からの、まことに身勝手なメッセージと、面倒な人間関係のトラブルを避けるために、留守番電話機能を放棄し、胡散臭い業者からの宣伝チラシが送られてくるようになったファックスも、相手を確認してから受信する手動方式に切り替えてしまったのです。

まるで一昔前に戻ってしまったかのような、わたしの決断に、事務連絡に不便で仕方がないと、楽屋の評判は悪いのですが、わたしは結構満足しています。文明が進歩しすぎるとろくなことはありません。不便に慣れれば不便でなくなります。


「神田愛山講談次郎長ツアー」

これはご一緒に旅行をしませんかというお誘いです。5/15(土)~16(日)。行き先はわたしの育ちの故郷である静岡県静岡市清水区。同級生の鮨屋で食事をして、下級生が経営するホテルで一泊という段取りです。もちろんわたしの講談(清水次郎長伝)と、アマチュア講釈師への公開稽古もつけます。2万円(交通費別)。参加ご希望の方はお早めにご連絡下さい(03ー3430ー6615愛山工房)。
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by aizan49222 | 2010-05-03 22:35 | 愛山メッセージ